朝起きると顎が痛い。。。噛み締めが癖になっている。。。歯ぎしり、くいしばりのある方へ。

今日は、歯ぎしり、食いしばりのお話をしようと思います。
歯医者には虫歯などのような痛みを伴う自覚症状が起こって初めて来院される方が多いのですが、実は歯ぎしりやくいしばりによって普段自分では気づかないうちに歯や歯茎、顎などに負担をかけている場合が多くあります。

ある日突然に原因不明の顎の痛みを感じたり、歯茎の変形に気がつく・・・なんて患者さんが多くあります。

自分は歯ぎしりなんてしない、と思っていても家族に「夜中ギリギリ言ってるよ」と言われて気がつく人もいれば、パソコンなどの軽作業をしている時、ふと顎に力が入っていたことに気がついた、なんて人も。

この記事では歯医者の視点から疑問や悩みを解決し、歯の治療というイメージから歯の健康維持のための右田歯科医院になって欲しいという思いでブログを投稿していきます。

歯ぎしりやくいしばりを理解し、適切な診断のもと治療または歯の保護をすることでお口の健康はもとよりご自身の体の健康維持につなげましょう。

歯ぎしりとその原因

歯ぎしり歯ぎしりとはブラキシズムと呼ばれた睡眠時でも覚醒時でも起こる口腔異常機能と定義されています。

ギリギリと上下の歯を擦り合わせてグライディングと呼ばれた歯ぎしりが一般的には多く、歯や顎、顎の関節などに大きな圧力がかかります。

また、擦り合わせがなく(ギリギリなどの音がしない)くいしばり型の症状をクレンチングといいます。

また、カチカチと噛み合わせる歯ぎしりにタッピングとよばれる症状もあります。
いずれの症状も、歯や歯茎、顎、場合によっては肩こりや頭痛などのお口以外への悪影響を引き起こします。

・睡眠時以外にも集中してパソコン作業している時や、ハードな肉体労働をおこなっている時
・もともと歯並びが悪い、または抜歯などで噛み合わせが変わった時
・流動性食道炎などによる口腔内のPHバランスの崩れが原因の時
・アルコールやタバコの影響で眠りが浅く睡眠の質が悪い時
・睡眠時無呼吸症候群など、睡眠障害がある時

歯ぎしりはストレス、飲酒、喫煙、服薬、睡眠障害等の関与などが原因になる場合もあり診断によっては他の医療機関への受診が必要になる場合もあります。

歯ぎしりを放っておくと起こること

食事の際に噛む力はその人の体重の25〜30%弱程度が目安なのですが力一杯歯を食いしばった時の力が100%とすると(体重50kgの人なら50kgの力)歯ぎしりの際の力は115%に相当する圧力がかかるといいう調査結果も出ています。
そのような圧力をかけ続けるとどのような弊害があるのか見てみましょう。

・歯周病と知覚過敏

歯に大きな圧力がかかることで歯茎に隙間ができそこへ細菌が溜まります、歯茎は炎症を起こし赤く腫れ歯周病になってしまうのです。歯周病が悪化すると歯を支える土台が溶け歯がグラグラとなります。また、磨り減った歯は表面をおおうエナメル質がなくなり象牙質(ぞうげしつ)・歯髄(しずい)という柔らかい部分が露出し始め冷たいものや甘いもの、ブラッシング時の刺激で痛みを感じるようになります。これが知覚過敏です。

・顎関節症(がくかんせつしょう)

朝起きると顎が開きづらい、顎がカクカクとなる。などこのような症状があると顎関節症を疑いましょう。放っておくとめまいや肩こり耳鳴りなども併発して重症化する場合もあります。

・骨隆起(こつりゅうき)の原因になる

触ると硬く骨ばっています。痛みがないのですが、入れ歯をつくる際に弊害になったり舌に触れて違和感を覚える場合もあります。

・頭痛、肩こり、顔面や目の奥の違和感

顎や顎をおおう筋肉、側頭筋(そくとうきん)が緊張することでそれに繋がる筋肉への悪影響から頭痛、肩こり、頬骨のあたりや目の奥に違和感を覚える場合があります。

・歯並びと顔の歪み

強い圧力で磨り減った歯によって噛み合わせが変わり少しづつ歯並びも変わってきます。
また、抜歯が原因で噛み合わせが変わり歯ぎしりをする逆のパターンもあります。
噛み合わせがかわることで顎に負担がかかり顎の筋肉が発達しエラ張り顔のような形になる場合もあります。

・補綴物(詰め物や被せ物)の脱離

歯の治療で施された詰め物や被せ物が強い摩擦により割れや欠け、脱離を起こしてしまう場合があります。

・歯のすり減り

横に擦りあわせる歯ぎしりや上下の歯を噛みしめるくいしばりを繰りかえすと徐々に歯質がすり減り最終的には露髄(ろずい)といって神経が露出し痛みが出る状態になってしまいます。歯が小さくなったり、ひびが入ったように見えるなどの症状がおきます。

歯医者でできる改善と治療

歯ぎしりは様々な原因から起こることがわかりました。
ストレスからくるのか、歯並びからくるのか、癖で無意識にしている・・・
その原因は自分ではわかりにくいものです。
われわれ歯医者は歯の健康状態や患者さんからのヒアリングを元に治療方針を考えます。
まずは受診をし一緒に改善していきましょう。

マウスピースで改善する方法

歯ぎしりの治療にかんして、王道なのがマウスピース(スプリント/ナイトガード)の装着です。
最近では、マウスピースも素材が2つあり、患者さんの好みも加味しつつ作ります。
一つはスポーツ選手が競技の際に使用するマウスピースに使用する素材と同じものでゴム製のソフトタイプ
もう一つは硬い素材のハードタイプです。

歯医者の知見からおすすめするのはハードタイプです。

その理由はというと

・ナイトガードについた傷で歯ぎしりの状況を確認することができる
・ハードタイプといっても歯よりは柔らかい素材でできているため強い摩擦から歯と歯茎を守る力がある
・ソフトタイプは耐久性に欠ける上、食いしばりなどの症状をより強くしてしまう恐れがある
また、マウスピースは日中用のものもあります。(ナイトガードより薄めで装着感が軽め装着したままのおしゃべりもできます)
日中でのくいしばりが癖になっている人には普段から装着することをおすすめする場合もあります。

歯列矯正

歯列矯正をすることで歯ぎしりや伴って起こるその他の症状が改善できる場合があります。
歯並びは噛み合わせを整えるだけでなく顎を正しい位置に戻すためにも大切です。
また、歯並びがよくなると歯磨きの効果も上がり虫歯リスクを下げることができます。

リマインダー法(認知行動療法)

日中、作業に没頭しているとき、ふと自分が食いしばっていることに気づく瞬間ってありますよね。歯ぎしりをどのタイミングでしているのかということを観察し、視覚的に気付けるよう目につくところにメモを貼ったり、作業中は意識的に顎の力をリラックスさせるようにする(口を軽く開けるなど)歯ぎしりやくいしばりを解く習慣を意識するなどといった療法をします。

その他の治療や療法

症状によっては他の医療機関へ紹介状をだしたり、顎の緊張を和らげるためのボトックス治療などもあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?歯ぎしりは奥が深く一概に原因が特定できない厄介な症状です。
何より放っておくことが歯や歯茎の健康に悪影響だということがわかったと思います。
最近、顎が痛いな・・肩がこるな・・・そんな自覚症状が現れたなら、ぜひ一度受診し歯のすり減り具合や歯茎の状態を歯医者さんに診てもらってください。

症状がひどくなってからでは治療も長引きます。歯ぎしりやくいしばりは日頃の生活のささいな習慣を改善することで治ることもありますので早めの受診をおすすめします。

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