子供の乳歯を虫歯から守るには?乳歯が虫歯になることによる悪影響について
「乳歯だから虫歯になっても大丈夫」
「おばあちゃんがまだ小さいうちからチョコや飴を与える」
「痛いって言わないから歯医者には行かない」
こんなことを言っている親御さんいませんか?
乳歯が虫歯になるといろいろなトラブルを引き起こす引き金になることをご存知でしょうか?
乳歯の役割を理解し、健康な乳歯から健康な永久歯に生え変わる重要性をお伝えし、様々な危険が潜む虫歯リスクから乳歯を守る方法や、家族全員で虫歯予防に取り組むためにできることをご紹介します。
この記事ではたくさんのお子様の治療をしてきた歯医者の視点から疑問や悩みを解決し、歯の治療というイメージから歯の健康維持のための右田歯科医院になって欲しいという思いでブログを投稿していきます。
この記事を参考にぜひお子様の歯の健康維持にお役立てください。
乳歯の生え始めと生え変わる時期
乳歯は生後8ヶ月ごろに下顎の前歯から生え始めます(個人差があります)全ての乳歯が生え揃うのにだいたい2〜3年かかり、6〜12歳ごろに永久歯へと生え変わります。
「乳歯だから虫歯になっても大丈夫」なんて思っていたら大変なリクスを背負うことになりますので乳歯が生え初めた頃からは特に気をつけて口腔ケアをしてあげましょう。
乳歯の役割と特徴
乳歯の役割は大きく分けて4つあります。
❶食べ物を噛む
乳歯が生え始め上下の歯で食べ物をしっかりと噛むことができるようになるとペースト状の離乳食が徐々にあら刻みの幼児食になります。しっかりと食材を噛むことで必要な栄養分をしっかりと吸収できるようになります。
❷あごの発育を助け、顔の形を整えるまた、しっかりと噛むことであごの発達が進み歯並びや顔の形を整える手助けをします。
❸発音を助ける
幼児期にさしかかる頃、たくさんの言葉を話すようになっていきます。歯並びや舌の位置が変わるだけでとても発音が難しくなります。大人でも歯の治療などをして口の中が普段と違う状態だとうまく話せなかったなどという経験はありますよね?
生え変わる時期の幼児期は前歯が1本抜けただけでも聞き取りにくくなることがあります。
❹永久歯が正しく生えるための案内をする
永久歯の多くは乳歯を押し上げながら生えてきます。虫歯や歯並びの悪さが原因で乳歯を抜いてしまうと永久歯は目印を見失ってしまい結果歯並びの悪くしてしまう原因になる場合があります。
これらの役割をになっている乳歯は永久歯に比べ表面をおおうエナメル質が薄く柔らかいので、虫歯菌が作りだす酸によってエナメル質が溶け出し初期虫歯にすすんでしまいます。
唾液にはこれらを修復する力「再石灰化」がありますが修復が追いつかないと本格的な虫歯になってしまうのです。
乳歯が虫歯になる原因と予防
それでは虫歯になる原因を探ってみましょう。
虫歯になる要素は大きく4つの要素が重なりあった状態が続くことで生まれます。
2:「虫歯菌」 生後間もない赤ちゃんには存在せず、親の唾液、スプーンや食器などから感染
3:「糖分」 虫歯菌が糖分を摂取し増殖、酸を生成しエナメル質を溶かす
4:「時間」 酸性の時間が長くなることで虫歯リスクが高まる。
乳歯の虫歯リスクについて
「虫歯菌=ミュータンス菌」は生後まもない赤ちゃんには存在せず、お母さんの唾液やスプーンなどから感染します。保菌者の半数が乳歯が生え始める時期(1歳7ヶ月〜2歳7ヶ月)に定着するというデータがあることから大人がしっかりとケアをすることが必要です。
乳歯は永久歯と比較するとエナメル質が薄く、歯も柔らかいことから虫歯の進行も早いというリスクがあります。
乳歯が虫歯になることでおこる悪影響
「乳歯だから虫歯になっても生え変わるから大丈夫」そんな声を耳にしたことがあります。
この考えはとても危険です。
乳歯虫歯になると成長段階にあるお子様にとって様々な悪影響が及ぶのです。
悪影響❶ 偏食になりやすい
虫歯ができて歯が痛む、しみる、固いものを避けるようになるなど偏食になりやすくなります。
悪影響❷ 虫歯リスクの増加
虫歯菌が口の中にあるということは「糖分」が口の中に残る状態がつづくことで繁殖しつづけ、口の中の酸性濃度が高まり元気だった歯にも虫歯が広がる可能性が高くなります。
悪影響❸ あごの発達に悪影響を及ぼす
虫歯になって歯を抜いてしまったり、大きな穴が空いてしまったりすることで正常な咀嚼(そしゃく)ができなくなり、結果あごの発達や噛む力を妨げてしまいます。
噛むことであごの骨は強く大きくなり永久歯がきれいに生えてくる手助けします。
悪影響❹ 永久歯の歯並び
乳歯は永久歯が生えてくるスペースを確保するのに大変重要な役割をしています。早期に虫歯などで抜歯してしまうと永久歯のスペースがなくなり歯並びが乱れてしまいます。
悪影響❺ 永久歯の発育に悪影響
永久歯は乳歯を押し上げて生えてくるのですが、上にある乳歯が虫歯になるとどうでしょう。そうです、乳歯の歯髄まで虫歯が進むと下の永久歯まで変色や変形した永久歯になってしまうリスクが高まるのです。
乳歯を虫歯から守るには
生まれたての赤ちゃんからは「虫歯菌」が見つからないということは、周りの大人たちがお子様の歯について考え適切なケアを行うことが大切なことがわかりますね。
具体的なケアは以下のような方法があります。
ガーゼ磨きや歯ブラシ
乳歯から永久歯へ生え変わる時期はな歯並びも不揃いなためブラッシングも難しい時期です、虫歯の要素の一つ「糖」を口に残さないよう、お子様の成長段階にあったガーゼ磨きやブラッシングを行ってあげてください。
定期検診
赤ちゃんの歳には保健婦さんによる地域の乳幼児集団検診などもありますので歯の相談やケアの仕方など教わりながら乳歯が生え揃う頃には歯医者さんでの本格的な定期検診でお口の環境をチェックする習慣をおすすめします。
フッ素の活用
フッ素はお口の中の最近の活動を抑制し、再石灰化を促進し歯の質を強くする役目をしてくれます。乳歯のうちから積極的にフッ素塗布をすることでより高い虫歯予防を期待できます。市販のフッ素配合歯磨粉やフッ素洗口などが手軽に取り入れ、定期検診で歯医者さんによるフッ素塗布を受けることがおすすめです。
歯医者=怖いところをなくす
普段から歯の健康を子供と考え行っていく上で、歯医者に行くことも「大切な歯のメンテナンス」というスタンスになってくれたらいいなと思います。
「痛くなったら歯医者に行って、もっと痛い治療をされた=歯医者は怖いところ」このマイナスなイメージにならないように、どうぞ日頃の口腔ケアをご家族で実践してください。
まとめ
以上のようなことから、乳歯は虫歯になりやすく一度虫歯になると後に生えてくる永久歯に大きな悪影響を及ぼすだけでなく、大切なお子様の身体の発育にもリスクを与えてしまう危険があることがわかりましたね。
予防ケアを習慣化し、健康な歯からお子様の健やかな成長をサポートしてあげてください。